自分らしさって何?
おそらく多くの人が、いつか通る問いだろうと思います。
この本に出会ったキッカケは、私が主宰するコミュニティメンバーの投稿。タイトル『私とは何か 「個人」から「分人」へ』にすっかり魅了され、Audibleでダウンロードしました。
「私という人は、色んな分人が集まって成り立っている」
これが一番伝えたかったことだと思いますが、私が一番心に残ったは別の部分です。
本の概要
対人関係ごとに「その人の前の自分」と、複数の自分を見せていて、それはすべて「本当の自分」である。本書ではそれを「分人」と定義づけています。
本当の私=唯一不変の存在。
そんな風に捉えてしまいがちだけど、実際は「本当の私」ではなく、色んな「分人」で成り立っているのが本当の自分自身である、という考え方を説いていました。
個性とは
・唯一不変ではない
・他者の存在なしには生じない
本当の私=○○、と定義づけるよりも、複数の分人を生きることで、心地よく生きられるという話です。
「本当の自分」が一人しかいない、という考え方は、人を苦しめる。
アイデンティティに悩む私たち
私と言えば○○と決定づけると、確かに生きづらいなと思う。
生きていると例外は毎日起こるもので、○○な私もいればXXな私もいる。そう考えると、唯一無二のアイデンティティを求めるがゆえ苦しむのだなと感じました。
たった1人の自分はいない
首尾一貫した人は存在しない
分人は環境や対人関係で生まれて、自分では生み出すものではない
読み進めるうちに、自傷行為はアイデンティティの整理という表現にハッとさせられた。
この表現が心に残った理由は、私は身近な家族に「死にたい」と言ってる人が何人か居た&居る環境で育っているからです。
確実に死ぬことを選択しないのは何故なのか?と思っていましたが、本書の「今だと生きづらいから新しいセルフイメージを獲得しようとしてる」という表現に今までとは全く違う捉え方ができました。
自傷行為は、死にたい願望ではなく行きたい願望
確実に死ぬことを選択しないのは、自傷行為で今の自分像を殺して新たなアイデンティティを作りたいのか…。(うーん、深い。)
その視点で考えてみると、どんなアイデンティティを作りたかったのか?何を変えたかったのか?
当時の私は、身近な人に真に寄り添えていなかったようです。
きっとわが子も、これから自分のアイデンティティに悩む日がくると思う。その時、母としてどんな関わりができるか?妙に考えさせられました。
分人の比率を変えていく
個性の変化は付き合う人間を変えて、分人の比率を変えていく。
本書を読むまでは、「分人」の定義があいまいでした。
「本当の私」ではなく、色んな「分人」で成り立っているのが本当の自分自身であるとすると、どこにも正解はなく、目の前の人によって自分自身の役割を考えて行くことが大事だと思いました。
唯一の私ではなく、時と場所と人とによって、常に柔軟に変化できる私が理想です。
本書にあった、「人格は一種のパターン」という表現が妙にしっくりきます。
刺激を受けまして・・・
自己探求をしすぎると、「私らしさ」の呪縛にかかり、言葉で表現できる存在を求めがちです。本書を読み終えて感じるのは、私自身は、周囲との関わりによって何にでも変身できる存在なんだ、ということ。
「愛は相互献身ではなく、関係を持続させるもの」だとすると、相手の存在を通して自分自身を知り、自分のことも相手のことも好きになると気付きました。
私らしさ=唯一不変、という考えを改め、色んな私(分人)を楽しもう!と前向きになれたのは大きな収穫です。
「自分らしさ」って?「自分の存在意義」って?と悩んだことのある人にとって(私含める)、新たな視点が刺激になる一冊だと思う。
人生について考えさせられるとても良い本でした。
すっかり平野啓一郎さんのファンになりまして(笑)
ある男の世界観にもどっぷりハマることに・・・(ものすごくオススメ!!)